刺青の連続切除・縫合法3回 1-2

刺青の、手術による治療の場合、やはり代表的なものは、連続切除・縫合法と呼ばれるものです。
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刺青の治療において、元々の刺青が、1回で切り取れるくらいの形とサイズであれば、そのまま切り取ってその後の傷を縫合してしまえば、治療が終了します。しかしながら、たいていの場合には、刺青をすべて切り取ってしまっては、縫合ができないくらいに、傷が開いてしまいます。そこで、刺青の一部を切り取り、その傷を縫合しておいて、その後、最低1ヶ月の待機期間をおいて皮膚が伸びるのを待ちます。人間の皮膚は張力をかけておくと伸びてくることを利用するのです。この原理は、乳房再建などの手術において、胸の中にティッシュー・エキスパンダーと言う、風船のようなものを挿入しておき、それを徐々に膨らませて、乳がんの手術のときに切り取ってしまって不足した皮膚を伸ばすといった形で利用されています。刺青を取る際にも、このティッシュー・エキスパンダーを使用することも可能なのですが、たいていの場合、刺青はバストとは違って、本来膨らんでいないところに存在します。したがって、そのティッシュー・エキスパンダーによる膨らみによって、通常の衣服の装用が不可能になったり、日常動作のじゃまになったりします。また、手術回数も、ティッシュー・エキスパンダーの挿入のために1回、その取り出しと刺青の切除に2回目の手術、そしてそれらの手術の間に、ティッシュー・エキスパンダーを拡張させるための複数回の通院が必要になります。これらのことを考慮すると、刺青の切除の場合には、ティッシュー・エキスパンダーの使用はできるだけ回避し、縫合した創の緊張に任せて自然に皮膚が伸びるのを待つ方が、理に適っています。