刺青の切除を希望される方にとって、やはり一番気になるのは、術後の傷跡のことでしょう。
刺青の連続切除・縫合法における傷跡は、完成形としては、一本の線状のものにしてしまうことを目標としています。
美容的には、しわの方向に合わせることが、線状の傷跡としては目立たなく、しかも細くなるのですが、刺青の形や位置によっては、そういうわけにはいきません。それは、いくら長い期間の手術間隔であっても、手術の回数が多くても、人間の皮膚が伸びてくるのにも限界があるからです。その限界を超えてしまうと、切開創をいくらきれいに縫合しても、それがつながらないうちに、傷そのものが開いてしまったり、傷が閉じても、その後、いつも傷を開く方向に力が加わるため、傷の幅が広くなり、肥厚性瘢痕という、ケロイドと似た傷跡になってしまったりします。したがって、そのような現象を防止するために、切除する皮膚の量は、トータルでできるだけ少なくすることも必要なことになってきます。そこで、刺青の切除に関しては、傷の方向はあまり考えず、さらに敢えてジグザグの傷にすることで、傷にかかる張力を分散させるテクニックを使うこともあります。
どちらにしても、刺青の切除・縫合法に関しては、手術回数を厭わず、それらの間隔についても焦らず、傷の形に関してもある程度のものは容認することが、最終的には成功の鍵であると言うことができます。