鼻翼縮小・鼻尖縮小+耳介軟骨移植 の症例写真 5

このようにポピュラーになった耳介軟骨移植の手術ですが、移植した耳介軟骨が吸収されてしまうという話を聞くことがあります。
 
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勿論、きちんとした耳介軟骨移植手術は、移植された耳介軟骨は吸収されず、移植された箇所にきっちりと留まるものです。ではなぜ、このような吸収されてしまうという話になるのでしょうか?その理由は2つあります。
一つは、本当に数年のうちに吸収されてしまうケースです。この場合、移植した耳介軟骨の加工に問題があり、耳介軟骨の軟骨膜を全て外して移植された場合です。この場合、移植された軟骨は、周辺の組織から栄養や酸素を受け取れず、また、移植手術に伴うダメージを修復できず、次第に吸収されてしまいます。一方、軟骨膜を外さずにつけたままの状態の場合には、軟骨膜が周辺合組織から栄養や酸素を受け取り、それらを移植された軟骨に供給します。さらに、手術に伴う耳介軟骨の一時的なダメージは、軟骨膜に豊富に存在する幹細胞が、軟骨細胞に分化・分裂して補われるとされています。このように、耳介軟骨を鼻先に移植する場合には、その軟骨膜を取り外さずにおくことが、術後の形態の安定のためには重要なことなのです。
2つ目の理由は、移植される箇所の処理の問題です。鼻先に耳介軟骨が移植される場合には、そこには鼻翼軟骨が存在します。鼻翼軟骨は、左右の鼻の穴を取り囲むようにして、2枚が中央で合わさった形をしています。ここの、2枚が合わさった部分が、耳介軟骨の移植前に、隙間や合わせが弱い状態だと、移植した耳介軟骨が、2枚の鼻翼軟骨の間に沈み込んでいくことになるのです。そしてそのような状態が、移植した耳介軟骨があたかも吸収されたかのように見えるということです。このような症状を防ぐには、左右の鼻翼軟骨を、しっかりと連結させておくことです。この連結と言うのは、具体的には縫合と言うことなのですが、単なる鼻先への耳介軟骨の移植であれば、縫合しなくても、元々、そのような形状をしていて、繊維性の組織で繋がっています。しかし、鼻尖縮小術と同時に耳介軟骨移植を行う、この症例写真のようなケースでは、鼻尖縮小手術で一度、左右の鼻翼軟骨を剥離して引っ張り出していますので、それらを適正なる位置に戻して中央で縫合する必要があります。
これら2つの、耳介軟骨移植の吸収、または吸収されたかのように見える結果については、耳介軟骨から軟骨膜を取り外してしまわないことと、左右の鼻翼軟骨の縫合をしっかりと行うことで、防ぐことができます。