二の腕に螺旋状に入った刺青・切除 3

手術回数についてですが、このモニターさんの場合、最初は3回を提示したのですが、どうしても2回でと言うことで、かなり無理をしています。その際に問題になるのは、やはり傷の幅です。
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傷と言うものは、縫合して抜糸した直後は、どの傷も非常に細く、きれいになっています。しかしその後、時間が経つにつれて、傷は変化します。その際、幅が細くてきれいな状態で最終結果を迎える為には、いくつかの要素を満たしている必要があります。傷が綺麗に治るかどうかは、当然、患者さんの体質によるところも大きいのですが、抜糸後のケアや、元々の傷に対する条件と言うのも、大切なことです。この、3回のところを2回で切除した場合の問題点としては、傷に対する条件が最も大きな要素です。どういうことかと言うと、3回に分けて、徐々に皮膚が伸びるのを待って、切除を繰り返すのと、2回で、皮膚が十分に伸びる前にさらに目いっぱい引っ張って縫合するのとでは、2回の方が傷はきれいにならないということです。それは、3回のところを2回で切除すると、術後には慢性的に傷を開く向きに力が加わり、その力で傷の幅が広くなってしまうということです。このような状態では、傷の幅のみならず、幅が広くなった傷は盛り上がりやすいとも言えます。このような状態を、専門用語では「肥厚性瘢痕」と言います。一般的には「ケロイド」と言うこともありますが、ケロイドとは正確には、傷の範囲を超えて拡がるものを指すのもので、主に患者さんの体質が、大きな要素を占めます。肥厚性瘢痕になると、傷の痒みを伴い、それによって傷の上を爪などで掻き毟るため、さらに傷に刺激を加える形になり、肥厚性瘢痕が悪化する傾向にあります。