肩から二の腕にかけての症例写真 5

そこで、肩の脂肪吸引は細いカニューレを使用することが、最低条件となります。
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直径の細いカニューレを使用した手術では、太いカニューレを使用した場合のデメリットを、ほとんどすべて解決できると言ってもいいでしょう。つまり、皮下脂肪層内の繊維の引っかかりが少なく、挿入には力が必要ありません。そしてそのことは、繊維へのダメージも少なく、神経や血管へのダメージも少ないということで、術後の回復が早く、凸凹もできにくいということです。ただし、カニューレが細いだけでは、どうしても手術に時間がかかるということは、致し方のないことのようです。そこで、カニューレの他の要素が大切なものになってきます。それは、先端の形状とホールパターンと呼ばれる、先端の穴の形とその並び方です。
一般的に、脂肪吸引に使用するカニューレの先端形状は、針のような尖りはなく、半球状の丸い形をしています。そして現在、日本国内で医家向けに販売されているカニューレは、ほとんど全て、先端がこの半球状のものです。しかし世界的に見ると、この半球状と言う形状は既に古いものとなっており、様々な種類のものが流通しています。例えば、新幹線の先頭車両や飛行機の先端のように、先端の中でも本当に最先端の部分のみが半球状になっているもの、つまり、ボールペンの先のような形状のものや、それを半分削り落としたようなWedgeという形状、さらに、ヘラ状の形のSpatula、V型になったV-dissector、など、多種多様な先端形状があります。肩の脂肪吸引に使用するのは、先端が半球状のものではなく、ボールペンの先のようなものが、繊維の引っ掛かりが少なく、スムースな操作が可能になります。
ホールパターンについては、これも世界では多種多様なものがあるのですが、それらの中で、肩の脂肪吸引に適している物としては、カニューレの背側にホールの無いものです。背側にホールがあると、薄い皮下脂肪層に対して皮膚の直下を吸引する形となり、凹凸ができやすく、また、皮下血管網と言って、皮膚に対する血流を司る、真皮と皮下脂肪層の間に存在する血管網を傷つけてしまいます。この皮下血管網を傷つけると、長期にわたる色素沈着や皮膚の拘縮が発生します。このような症状はまだ回復させる手立てはあるのですが、さらに高度な場合には、皮膚に妊娠線のような色素異常の発生につながり、こうなると回復させることは困難です。そして、皮下血管網へのダメージが非常に強くて最悪の場合には、皮膚が壊死に陥り、大きな穴が開いてしまうということもあります。