太もも全体の脂肪吸引 8

前出の論文は、各種の脂肪吸引法、特に吸引される側の皮下脂肪の処理法について、4種類の方法を比較したものとして、大変興味深いものです。
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この論文は、「In Vivo Endoscopy of Septal Fibers Following Different Liposuction Techniques Reveals Varying Degrees of Traumatization」として、The American Journal of Cosmetic Surgery Vol. 28, No. 3, 2011. 163. ORIGINAL SCIENCE PRESENTATIONに掲載されたものです。内容としては、
1) チューメッセント法(ツーメッセント法,トゥーメッセント法,Tumescent Method)法で、皮下脂肪組織を処理する。
2) ベイザー、ボディージェット、パワーカニューレ、レーザー(体内式)、通常の脂肪吸引、の5つの異なる手術法にて脂肪吸引を行う。
3) 手術直後に、内視鏡で脂肪吸引した個所を覗き、一視野あたりの皮下脂肪層内残存繊維をカウントする。
4) 結果として、最も繊維の残存が多かったものは、パワーカニューレとレーザーを使用した脂肪吸引。次に通常のカニューレによる脂肪吸引。そしてベイザー。最も繊維を残せなかったのは、ボディージェットであった。
ということ。つまり、脂肪組織内の脂肪細胞選択性が高く、繊維を最も多く残せると謳われ、理論上はその通りであろうと思われていたベイザーやボディージェットが、通常のカニューレによる脂肪吸引に劣る結果であったということです。これは、ベイザーを使用した脂肪吸引の術後に、患者さんが通常の脂肪吸引以上に大きな痛みを訴えることと整合性があります。つまり、ベイザーは脂肪細胞以外の皮下脂肪組織の構造に、大きなダメージを与えているということ、すなわち、神経組織も多くダメージを受けており、強い痛みが発生するということです。
また、ボディージェットは、その水圧で脂肪組織を破壊すると同時に、止血剤を含む薬液を脂肪組織内に散布するのですが、どうやら、水圧で脂肪組織内の血管や神経を含む繊維成分を切断してしまっている可能性が考えられます。確かに、ボディージェットを使用すると、脂肪組織がフニャフニャになり、ハリを失っていることが自験例からも観察されています。
また、論文中、ベイザーとボディージェットという、これら2つの方法において、吸引されてきた脂肪組織が、多くの血液を含むという観察結果も示されていて、これらの方法は、手術による出血も多いと言えます。
これらのことから、脂肪吸引という手術そのものの優秀性を判断すると、比較的新しい方法であるベイザーとボディージェットは、新しいという商業的価値が存在するのみで、患者側にはメリットがないものであるということができます。