このように、鼻先の高さを必要とする場合には、プロテーゼだけではなくて、軟骨を組み合わせて使用する方が安全なのですが、それには理由があります。
プロテーゼの場合には、その材質は化学物質で、プラスチックの一種です。したがって、人体を構成する物質とは親和性がなく、吸収されて無くなってしまわない代わりに、それが挿入された個所は、血流をはじめとする栄養や酸素を皮膚に供給するシステムがブロックされてしまいます。鼻先に挿入された場合には、皮膚の下からの栄養と酸素の供給がなくなり、鼻先の皮膚の細胞は、隣の皮膚からそれらの供給を受ける形になります。しかしそこで、サイズ的に大きなプロテーゼが挿入されていた場合には、そのプロテーゼが皮膚を常に押してしまいます。押された皮膚は隣の皮膚からの血流がブロックされ、栄養と酸素の供給が不足し、皮膚の細胞が機能を停止し、次第に薄くなっていきます。そして最悪の場合には、皮膚は壊死に陥り、その部分には穴が開いて、挿入したプロテーゼが露出してしまいます。