鼻を高くする手術である隆鼻術に使用されるプロテーゼは、前述のごとく、内プロテーゼと言うことができます。
内プロテーゼの条件としては、物質的に安定性があることと、生体親和性が高いことです。
物質的安定性とは、長い時間の間に、物質が別物に変化しないということです。例えば、鉄であれば、長い時間の間には、錆びてしまって、本来のFeという元素単体でできた分子から、FeO3やFeO2などの、酸化鉄という分子に変化してしまいます。このように、物質の分子が別のものに変化してしまいやすいことを、物質的に安定性が悪いと言います。逆に、金の場合には、錆びが生じることはなく、100年経ってもAuという元素単体でできた分子のままです。これは、金は物質的に安定性が優秀であるということです。
生体親和性とは、簡単に言うと、周囲に対して刺激が少ないということです。生体親和性の低い物質は、内プロテーゼとして体内に埋め込むと、周囲の組織を強く刺激し、局所の炎症や組織の破壊をもたらします。そこまでの急激な反応を示さない場合でも、生体親和性の低い物質に対しては、人体は異物としての認識も強く、それを排出しようとする力が強く働き、挿入した切開創や挿入した個所の皮膚を破って、脱出してくる場合もあります。