日本人の鼻の特徴としては、前述の「鼻先の皮膚が分厚くて硬い」ということと、分厚い皮膚の割に軟骨が薄くて小さいという特徴が挙げられます。
これらの特徴から、10~20年前までは、もっぱらL型のプロテーゼを、鼻筋から鼻先まで連続して挿入するという術式が採られていました。しかし、この方法は、鼻筋がしっかりとした現代人にとっては、鼻筋をさらに高くすることになり、場合によっては額と鼻が繋がってしまって、非常に奇妙な顔貌を作ってしまっていました。また、鼻先の皮膚が分厚いことから、形をしっかりと出すために、鼻先の部分を尖らせたり分厚くすることによって、皮膚に慢性的な圧迫が加わり、鼻先の皮膚が薄くなってしまっていました。こうなると、鼻先が赤く変色したり、逆に白くなってプロテーゼが透けて見えたり、さらに最悪な場合には、プロテーゼが皮膚を破って露出してくることもありました。鼻先の変色の段階では、原因であるプロテーゼを抜いてしまえば、ほぼ元の状態に戻すことができますが、プロテーゼが皮膚を破って露出してしまうと、そこには水疱瘡跡のような、陥没した傷を残すことになります。この傷を盛り上げて目立たなくするのは、非常に困難なことで、幹細胞移植や成長因子を使用した治療を、複数回行う必要があります。