この辺はテクニカルな話になるのですが、軟骨を移植するときには、軟骨膜を剥さない状態での移植が、理想とされています。
当院でも、軟骨に付いている皮下組織は、軟骨を挿入した時の血行回復の邪魔にならないように、できるだけ取り除きますが、軟骨の表面に存在する軟骨膜については、できるだけそのまま軟骨にくっつけた状態で移植します。その理由は、軟骨膜がくっついていない軟骨は、術後の経過の中で、吸収が進行するためです。吸収率には諸説ありますが、最終的には最初のボリュームのうち、およそ3分の一が吸収されてしまうというのが、平均的なようです。つまり、せっかく軟骨を移植しても、手術直後の鼻先の形態を、長期に亘っては保持できないということです。一方、軟骨膜を剥さずに移植すると、そのような吸収は観察されません。その理由については、現在、再生医療の分野によって、解明されようとしています。