完全オリジナル・プロテーゼ+鼻尖耳介軟骨移植 3

しかしながら、これまでのオリジナル・プロテーゼの作成法は、この水平方向断面の形態については、何も触れられていませんでした。
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論文や学会発表に於いて、何も触れられていないということは、「大切だがいいアイデアがない」か「特に大切なことではない」かのどちらかです。この場合には、どちらであるかは、自明のことだと思います。「大切なのですが、いいアイデアがない」のです。これまでのオリジナル・プロテーゼ作成法として発表されていたものには、大きく分けて2つの方法がありました。
一つは、鼻の側面のレントゲンを撮って、それに合わせてプロテーゼを削り出す方法です。この方法は、側面から見た形態については、比較的正確な形態を反映することができます。そして、鼻骨への垂直方向の密着性は、確実に獲得できる方法です。しかし、横向きの形態は全く無視した形となり、プロテーゼを馬の鞍のように水平方向の安定性を得られるような形にすることは、あくまでも目分量の世界になっています。
もう一つの方法は、石膏で鼻の型を取って、それに合わせてプロテーゼを削り出す方法です。この方法の場合、プロテーゼの水平方向の安定性には問題があまりないのですが、鼻根の部分の軟部組織の厚みが、鼻背部分の軟部組織の厚みよりも厚いということを無視した形となっています。そのことによって、今度は垂直方向の安定性である、鼻骨への密着性が失われていると言えます。