シルエットリフトの吊り上げ・引き上げ効果の強さは、他のスレッドリフトを大きく凌駕するものがあります。これは、その糸の構造によるものが大きく貢献しています。
シルエットリフトが登場する以前には、APTOSやフェザーリフトと呼ばれるスレッドリフトが施行されていました。これらの糸は、2-0と言う規格の太さの糸に切れ込みを入れて棘を作り、ギザギザにしたものです。
これらのスレッドリフトの問題点は、まず、「糸に切れ込みを入れている」と言うことです。これは物性上の問題点と言うことができ、断面が円状の糸に切れ込みを入れることで、糸の強度が大幅に低下してしまいます。その結果、「切れやすい」「切れ込みから縦に裂ける」といった事象が頻発しました。そしてこれらの事象によって、吊り上げ・引き上げ効果が減弱、または消失してしまっていたのです。
次の問題点としては、「棘」がついていることです。「棘」がついているために、皮下組織を引っ掛けて引き上げることができるのですが、この棘が痛みを誘発してしまいます。なかには術後半年経った状態でも、痛みを訴える患者さんもいたのです。さらに、この棘は先端が尖っているため、皮膚を突き破って出てくることもありました。その際には糸を抜かなければならないのですが、その時に糸が裂けたり、切れて皮下に残り、それが移動してまた皮膚を突き破って出てくるということを繰り返していました。